火の章 サルに学ぶ





  4 サルのような腕

 サルに学ぶといっても、形態模写ではありませんから、顔つきや泣き声を真似る必要はありません。まず、学ぶべきポイントは腕です。

 肩、肘、手首を武術の世界では「三節(さんせつ)」といいます。「三節棍」といえば「カンフー映画」でもうご存知ですね。

 三節棍は三本の木のパーツを鎖でつないだ武器ですが、つまり、人間の腕の構造を模して作られたのが三節棍であるわけです。しかし、一般的には「腕」という、誰もが共通に持っている武器を自由に使いこなせる人はそう多くはいません。それは、肩、肘、手首の関節の関係を理解できていないからです。

 それに対して、人間の腕そのものを自由に使いこなせる武器として扱う技法を教えるのが武術です。それによって、力の強い敵に対しても、まるで「赤子の手をひねる」ように敵の体を自由に操り、自分が優位に立つことが出来るのです。

 この三節は、決して固く緊張させてはいけません。とはいっても、まるっきり力を抜いてもいけません。



 
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